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スイッチOTC「アレジオン10」が鼻炎治療薬市場でシェアを獲得

ヘルスケア事業が96%を占める

一般用医薬品で400億円規模の売上を誇るエスエス製薬は、2010年に外資系製薬企業のベーリンガーインゲルハイムの完全子会社となりました。

近年はコア領域に経営資源を集中投下する経営戦略をとっており、ドリンク剤の「エスカップ」、解熱鎮痛剤の「イブ」、美容関連の「ハイチオール」、感冒関連の「エスタック」、便秘薬の「スルーラック」を注力ブランドに位置付けています。

薬効領域別の動向としては、主力のドリンク剤については、「エスカップ」の生産工場である福島工場が東日本だ震災の影響を受けて稼動中止状態となり、2011年は大幅な売上減少を余儀なくされましたが、供給体制が整ったことにより、2012年は回復に転じました。

解熱鎮痛剤の「イブ」は、継続的な広告宣伝活動と解熱鎮痛剤の市場自体が活性化していることにより順調な推移を示しています。

近年、注力度を高めていた美容関連では、長澤まさみさんをCMキャラクターに起用した「ハイチオールC」、AKB48を起用した「ハイチオールB」が若年女性層の支持を受けて、売上を伸ばしています。

生産工場が震災の影響を受けたことにより、2011年は営業活動や新製品投入の面で滞った感は否めませんでしたが、2012年は前年11月に発売したスイッチOTC薬「アレジオン10」が鼻炎治療薬市場で一気にシェアを獲得し、医療用成分としてのブランド力を見せつけることになりました。

2012年11月には久光製薬から同じスイッチOTCである「アレグラFX」が発売されており、2013年の鼻炎治療薬市場はスイッチOTCの鼻炎治療薬市場はスイッチOTC薬による熾烈なシェア争いを繰り広げられることが予想されます。

主力ブランドと近年の主な新製品

薬効領域 ブランド名
ドリンク剤 エスカップ
解熱鎮痛剤 イブ
しみ治療薬 ハイチオールC
ビタミンB2主薬製剤 ハイチオールB
便秘薬 スルーラック
感冒関連用薬 エスタック
鼻炎治療薬 アレジオン10
発売日 商品名
2010年6月 スルーラック デトファイバーM(便秘薬)
2010年7月 ハイチオールCプラス(しみ治療薬)
2010年7月 エスカップ フレッシュチャージ(ミニドリンク剤)
2010年9月 エスタック漢方シリーズ(感冒薬)
2011年10月 アレジオン10(鼻炎治療薬)

市場での期待が大きい生活習慣病薬のスイッチOTC化に遅れ

日本医学会の反対意見が強い

医療用医薬品のうち、一般用医薬品への転用が適当とされるスイッチOTC化候補成分の選定が遅々として進んでいません。現在のスイッチOTC化推進の枠組みは、日本薬学会が毎年3月に候補成分をリストアップします。

このリストを厚生労働省が医学会とその分科会に送付し、検討を行った各分科会の意見書を踏まえ、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の一般用医薬品部会で審議を行います。部会でスイッチOTC化推進成分が了承されれば、メーカーにスイッチOTCの開発を促すというのが大まかなプロセスになっています。

現在の枠組みが導入された2008年度から2010年度までの3年間に21成分がスイッチOTC化推進成分として部会で了承されていますが、市場規模が大きいとみられる大型成分のスイッチOTC化はほとんど進んでいません。

特に生活習慣病については医学会の各分科会の反対意見が根強いため、糖尿病治療薬のボグリボースやコレステロール吸収阻害薬のコレスチミドなどは何度かリストアップされながらも、その都度、部会での承認が見送られたため、現在もスイッチOTC化が実現されていません。

こうした状況のなか、スイッチOTC化を推進したい立場の薬学会は2011年度から医学会との意見交換を行うという新しい試みをスタートさせました。医学会の各分化会から意見書が提出された成分について、薬学会が医学会の各分科会に働きかけて意見交換を行い、合意が得られた成分について部会に諮るというものです。

これまで年1回、文書上で意見のやり取りが行われていただけのため、医学会から反対意見が出され、部会で承認が見送られると、次年度まで薬学会は反論する機会がなかったため、やり取りに時間がかかるという問題がありました。2011年度からは直接意見を交換する場が設けられ、どのような条件の下ならばスイッチOTC化が可能なのかを議論することができるようになるため、従来よりも結論が出されるまでの時間が短縮できると期待されています。

しかし、医学会は依然としてスイッチOTC化への慎重姿勢を崩していません。厚生労働省は2011年度からスイッチOTC化推進候補成分に対して医学会の分科会から提出された意見書をサイト上で公表することをスタートしました。2011年8月には第1弾として、日本糖尿病学会など各分科会から意見書が公表されましたが、薬学会が選定した10成分のうち、糖尿病治療薬のアカルボース、コレステロール吸収阻害薬のコレスチミド、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のオメプラゾールの3成分については賛成できないという回答でした。

同年10月には意見書の第2弾が公表されましたが、このなかで日本老年医学会は高齢者の薬物有害事象の発生率が高いことなどを理由に、高齢化が進む中でセルフメディケーションを推進すること自体に反対と回答しており、医学会との意見交換は難航しています。